部屋の露天風呂
旅館に泊まったところ、その部屋には露天風呂がついていた。
予約を取ってくれた姉夫婦の粋な計らいだった。
露天風呂付の部屋などなかなか泊まれない、テンションの上がった私は妻と子供の3人でワクワクしながら部屋の外へ向かった。
だいぶ暖かくなってきたものの、その宿は海の近くだったので海風が冷たくて全裸では寒い。
妻が先に足を湯舟に入れると、「あっつーー!!」と叫んですぐに足を引っ込めた。
「ちょ、信じられないくらい熱い……!」そういって驚く妻に、
私は「またまた、いくら何でも驚きすぎでしょ……笑」と笑う。
私は温泉が好きなので熱い温泉も数々入ってきた。ちょっと熱いくらいで何を騒いでいるんだ、と思いながら私も足を入れた。
「あっっzzzzzづ!!」
熱い熱い、信じられないくらい熱い。
数秒も我慢できないくらい熱い。たぶん50度近くある。これは入ってはいけない熱さだ。
仕方がないので、調整用についていた水道で冷水を入れる。
さらに、お湯をかき混ぜる棒みたいなものがあったので、それで必死にかき混ぜる。
バッシャン、バッシャン、バッシャン
妻は熱いお湯を外に出し、私は必死に冷水をかき混ぜる。
バッシャン、バッシャン、バッシャン
海風で身体が冷やされて寒い、息を切らしながら、必死に「いそげ!いそげ!」とかき混ぜる。
バッシャン、バッシャン、バッシャン
「なにしてるの?」と疑問を投げかける子供。
確かに、何してるんだろう……
家族全員全裸で必死にお風呂かき回してる……
しばらくして、再び足を入れてみる。
これくらいやれば、入れるだろ……「あっっzzzzzづ!!」
ダメだ、全然熱い。変わらん。
仕方がないので、一旦服を着て部屋のなかに戻り、宿の方を呼び調整していただいて、やっとの思いで入ることができた。