就活とハワイ
就職活動をしていた時の話。
私が就活をしていたのはもはや遥か昔になってしまったが、当時はコロナなどは流行っていなかったため、企業説明会には直接企業へ訪問していた。
都内の某企業の説明会に参加したときのこと。
説明会開始の10分前くらい、会議室のような場所に集められる50名ほどの就活生達。
右を見ても左を見てもリクルートスーツに身を包み、会場には緊張感が走っている。
周りにいるのはライバルになるかも知れないのだ。
喋っている人は誰もいない。
すると、会議室のドアが開き、企業の採用担当らしき人が現れた。
会場の空気が更にピリッと引き締まる。
「あ、皆さんこんにちは〜」
会場の空気とは反して、採用担当の声は明るい。この場を和ませようとしているんだろう。
ぼそぼそと数人、挨拶の返事を口にする。
「あれ、みなさん緊張してますか?」
と、採用担当は笑みを浮かべて問いかける。
就活生達から返事とも笑い声とも取れるような、わずかな音が漏れる。
その様子をみて困った表情の採用担当は、そうだ!と言った。
「まだ開始時間まであるので、隣の人と自己紹介とかして話してください」
と提案した。
永遠とも思える数秒、固まる空気。
話す!?
しかも隣の人と!?
ここまで一切話していないという事実があるうえで!?しかも自己紹介!?
一瞬の静寂の後、採用担当の「はい!どうぞ!」という合図が発せられた。
次の瞬間、就活生が一斉に話し始めた。
ーーそうだ、これは就職活動なのだ。
採用担当は全員の様子を見ている。
誰が話していて、話していないのか。
もう、戦いは......始まっているのだ。
―――‐‐‐‐
こういう...
知らない人と強制的に話さなきゃいけない時間めちゃくちゃ苦手〜〜!!!!!
こんなこと日常生活では、そうそうないと思うだろう。
時は経ち、場所はハワイ。
就活をしていた私も無事就職し、その後に結婚して新婚旅行に来ていた。
私のハワイで必ずやりたいことのひとつが「ファイヤーダンス鑑賞」だった。
屋外の会場に、100名以上の客がテーブルごとに集まっている。
会場には日本人が多かったが、私たちが座っていたテーブルには3グループくらいの外国人家族が座っていた。
開始時間になると、司会者らしき人が出てきた。
「ハイ、みなさんコンニチハ~」
日本人客が多いからか、日本語で話していた。
そして次の言葉に私は驚愕する。
「では皆サン、同じテーブルの人と自己紹介してくクダサイ~!」
いや……
ハワイで就活みたいなことあるんかーーーい!!!!!!!
めちゃくちゃ英語で自己紹介されたから、ずっと微笑みながら頷いてた。
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